小学校の国語の教科書で習う名作ごんぎつね。
みんなが知っている有名な作品です。本記事ではそのごんぎつねのあらすじや感想を、解釈などについて解説していきたいと思います。
国語の教科書に出てくる名作ごんぎつねとは?
ごんぎつねは、多くの国語の教科書に出てくる児童文学です。
作者は新美南吉で、彼が17歳の時の作品です。また、彼の代表作としても知られています。
きつねと兵十の関係を描いた作品で、筆者が老人から聞いた伝聞として語られている形式の物語です。
ごんぎつねの登場人物・キャラクター
ごん
本作に登場する子狐です。
ひとりぼっちの狐で、山の中の茂みに穴を掘って暮らしています。
とてもいたずら好きの狐で、あたりの村に行っては、昼も夜も関係なく、いろいろないたずらをしていました。
兵十
村で、母親と貧しく暮らしています。
体調の優れない母親のために、川でうなぎを採っていました。
そこで、ごんにいたずらをされてせっかく捕まえたうなぎを全て逃がされてしまいます。
後に母親は亡くなってしまい、ひとりぼっちとなってしまいます。
加助
兵十の知り合いで百姓をして生活しています。
ごんぎつねのあらすじ
これは、わたしが小さいときに、村の茂兵というおじいさんから聞いたお話です。
村から少し離れた山の中に「ごんぎつね」という狐がいました。藪の中に穴を掘ってひとりぼっちで暮らしていました。
ごんはとてもいたずら好きの小狐でした。
夜でも昼でも、あたりの村へ出ていって、いたずらばかりしました。
畑へ入って芋を掘り散らしたり、菜種がらの、ほしてあるのへ火をつけたり、百姓家の裏手に吊してある唐辛子をむしり取っていったり、いろんなことをしました。
ある日ごんは、川で兵十がうなぎを採っているのを見つけます。そこで、ごんは兵十がせっかく捕まえたうなぎを全て逃がしてしまうといういたずらをしちゃいます。
後日、兵十のお母さんの葬式が行われているのを目撃したごんは、兵十の採っていたうなぎは衰弱していたお母さんに食べさせるためのものだったということに気づきます。
流石に悪いことをしてしまったと思ったごんは兵十に、お詫びをすることにします。
村でいわしを売っているのをみかけたごんは、こっそり忍び込んで、いわしを盗んでいきます。そして届けたいわしを兵十の家に内緒で置いてあげたのです。
しかし結果的には、兵十がいわしを盗んだと思われ、いわし屋に怒られた上に殴られてしまいます。
また悪いことをしてしまったと感じたごんは、次からは山の栗やタケノコなどを自分でとってきて、兵十の家にこっそり持っていきます。
そしていつもの様に、兵十の家に栗や筍を持っていった所に、兵十と遭遇してしまいます。
あの時の盗っ人ぎつねがまたいたずらをしに来たと思った兵十は、火縄銃を持ち出し、ごんを撃ち殺してしまいます。
そして部屋の中にくりが固めて置いてあるのを見つけます。
「おや。」と、兵十はびっくりしてごんに目を落としました。
「ごん、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。」
いつも兵十に栗を持って来てくれたのはごんだったということを悟ったのでした。
ごんぎつねの感想
読み終わった時の感想は、率直にとても悲しいお話だなと思いました。
ごんは、最初こそはひどいいたずらをしていたものの、徐々に改心をしていました。
いたずらだってまだ小狐だし、ひとりぼっちで寂しかったというのもあるんじゃないかなと思います。
ごんは、最初いわしを盗んでお詫びのつもりに兵十にこっそりあげています。これだって多分盗んじゃいけないのを分かってなかったんでしょうね。
それ以来は、自分でちゃんと栗や筍を採ってきて兵十にあげています。
でも兵十はそれに最後まで気づくことなく、またいたずらをしに来たごんを撃ち殺してしまいます。
そして、殺してしまったあとでごんが、栗を持って来ていたことを悟ります。
このラストはとても悲しいですよね。もうちょっと前に栗を持って来ていたのがごんだと気づいていたら、兵十も撃ち殺してしまう事はなかったんでしょうね。
この作品はごんが人間っぽく描かれるところもありながら、結局きつねと人という感じに描かれているところもあり、そこが面白いところかなと感じます。
野狐でありながら、ごんと言う名前が付いていて、ひとりぼっちで寂しそうな感じの感情が描かれています。
でも、いわしを盗むのが悪いという事はいまいち分かってないようでここは普通のきつねっぽいですよね。
そしてラストのシーンでは、兵十にこの盗っ人ぎつねめと思われ、躊躇なく火縄銃で撃ち殺されています。人とキツネという間柄なら悪さをしに来た動物を駆除する意味合いで撃ち殺すのは至って普通の事のように感じます。
私も兵十が悪いとは思いません。兵十だって生きて行く為にうなぎを取っていたのに、それを逃がすようないたずらをするきつねを撃ち殺すのは致し方ないと思います。
でも、そのすぐあとの文では、
「ごん、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。」
と名前で呼んでいるんですよね。なんかちょっと違和感がありますよね。
でもこういうきつねに対する態度の違いを表現するの事で、より悲しさを強く表現したかったんだろうなと思います。
ごんぎつねの作者、新美南吉
新美南吉は、こんぎつねの作者で若干17歳でこの作品を書いています。
1913年生まれで、結核により29歳という若さでこの世を去っています。
そのため、作品数は多くないものの、童話や詩をなどを中心に作品を残しています。
新美南吉の作品は他に、「手袋を買いに」などが有名です。
こちらもキツネを題材とした童話です。きつねに思い入れがあったんでしょうかね?
ごんぎつねの背景
この物語は、彼が幼少のころに聞かされた口伝を基に創作されているとされています。南吉も母を早いうちになくしていて、孤独でいたずら好きな狐の話が深く影響を与えたとされています。
『ごん狐』は、元猟師の口伝として存在したオリジナルの『権狐』、新美南吉が口伝を物語にまとめた草稿の『権狐』及び、南吉の『権狐』を鈴木三重吉が子供向けとして編集した『ごん狐』が存在する。
国語の教科書や絵本で一般的に見かけることが出来るのは、鈴木三重吉が子供向けに編集を加えたごん狐です。
口伝に登場するごんは、兵十の母の葬式を見て、悪さをしなくなりました。というところで終わっています。そのため、実際にはごんは撃たれておらず、それ以降の展開については南吉が創作したとされています。
とても素敵な作品ですので、ぜひ読んでみてください。
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